AVTについて

AVT(Auditory Verbal Therapy)は聾児・難聴児の教育の1つの考え方・実践法。カナダ・アメリカ・イギリス・オーストラリアなど英語圏から広まって今や世界中の難聴児教育を変えつつあります。10の原則(下にスクロールしてご覧ください)に基づき、認定資格者が指導するのが本来の姿です。 
考え方の大黒柱は2本: 
聞こえファースト:五感を全開にして、聞こえから聴く脳を育み、健聴児と同じ言語習得過程をたどることを目指します。補聴器がアナログで大きな箱だった時代、人工内耳ももちろんまだ無い時代から、残存聴力を最大限活用して「聞こえる世界で生きる」ことを可能にしてきた歴史があります。
ファミリー・ベース:子どもが生まれて育つ最小の社会構成単位は家族です。親こそが教材。親子の対話こそが教室。それぞれの生活の中で聞こえを大事にした丁寧な子育てができるよう、親を指導するのが療育者の仕事です。 多様性が謳われる今日、聾児・難聴児のことばは「選べる」時代になり、医学と補聴技術のめざましい進歩のおかげで「聞いて話してインテする」ことも選択肢の一つとして広く認識されるようになりました。AVTも、常に最先端の脳科学・児童心理学・言語教育学などの知見に基づいて方法論を緻密にしていくと同時に、時代の流れとともにグローバルになった子どもたちの生育・学習環境にも対応していく姿勢を打ち出しています。
『おいで、音の世界へ!』AVT体験談であると同時に、親御さんにわかりやすいAVTの手引書となるよう書かれた小冊子。送料込み一冊700円/全69ページ (申し込みフォーム
*目次* 
1. なぜ音声言語を選ぶのか? 
2. なぜ〈聴く〉訓練が必要か? 
3. A-V教育(基礎編) 
4. A-V教育(応用篇) 
巻末資料 ・賢いパパとママの聴覚障害教育豆知識 ・参考文献 
声かけの「コツ」(AVTストラテジーと呼ばれます)をわかりやすく動画で解説するシリーズTIPS動画プロジェクト」もよろしく!
by 東京医療センター南修司郎先生

ここでは難聴児の聴覚活用が真に「AVT」と呼ばれうるために必要不可欠な10原則を挙げます(出典:AG Bell アカデミー ウェブサイト/ 邦訳:シュタイガー)

AVT10原則

  1. Promote early diagnosis of hearing loss in newborns, infants, toddlers, and young children, followed by immediate audiologic management and auditory-verbal therapy.
    • 聴覚喪失の早期発見と診断を推進し、聴覚障害と診断された乳児・幼児・児童の聴覚補償と聴能訓練をできるだけ早く始めるよう働きかける
  2. Recommend immediate assessment and use of appropriate, state-of-the-art hearing technology to obtain maximum benefits of auditory stimulation.
    • 医学的治療及び補聴に関わる技術を可能な限り早期かつ有効に利用し、最大の効果を引き出す
  3. Guide and coach parents to help their child use hearing as the primary sensory modality in developing listening and spoken language.
    • 聴覚障害児が第一の感覚器として(=手話や読唇に頼ることなく)聴覚を活用して音声言語を学べるよう、適切な接し方を親に指導する
  4. Guide and coach parents to become the primary facilitators of their child’s listening and spoken language development through active consistent participation in individualized auditory-verbal therapy.
    • 個人セラピーへの積極的な参加を通して、日常生活のあらゆる場面において音声言語のお手本であるよう、親を指導する
  5. Guide and coach parents to create environments that support listening for the acquisition of spoken language throughout the child’s daily activities.
    • 聴能による音声言語習得のために適した学習環境を、子どもの生活のあらゆる場面で実現できるよう親を指導する
  6. Guide and coach parents to help their child integrate listening and spoken language into all aspects of the child’s life.
    • 聞くこと・話すことを子どもが自然な当たり前のこととして自分の一部にできるよう、親を指導する
  7. Guide and coach parents to use natural developmental patterns of audition, speech, language, cognition, and communication.
    • (ことばを音として)聞くことに始まり、(対象を)感知する、言語体系の中でことばの持つ意味を把握する、そして認識的側面を理解するにいたる(ことばの理解の自然発達的な)プロセスをとおして聞く能力、話す能力、および言語能力を伸ばしてあげられるよう、親を指導する
  8. Guide and coach parents to help their child self-monitor spoken language through listening.
    • 子どもが自らの発声をモニターできるようになるよう気をつけるべく、親を指導する
  9. Administer ongoing formal and informal diagnostic assessments to develop individualized auditory-verbal treatment plans, to monitor progress and to evaluate the effectiveness of the plans for the child and family.
    • 子どもの成長と聴能の発達段階に即した個別プログラムを組み、その成果をモニターし、適性を常時チェック、適宜見直していく
  10. Promote education in regular schools with peers who have typical hearing and with appropriate services from early childhood onwards.
    • 幼少時より聴児といっしょの環境で学べるよう配慮し、必要なサポート体制を整えるために支援する

*An Auditory-Verbal Practice requires all 10 principles.

The term “parents” also includes grandparents, relatives, guardians, and any caregivers who interact with the child.

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