【たかが難聴、されど難聴】 4) 難聴はせっかちです

【たかが難聴、されど難聴】 4) 難聴はせっかちです。こちらが立ち直れる前に大事な決定を急かします。

今ちょうど(2021年末現在)『難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針』(案)が厚労省・文科省共同企画として検討され、パブリックコメントの募集が始まりました。医療・福祉・療育専門家に加え当事者(団体)もヒアリングに参加、声援隊も去る5月、第二回検討会において意見を述べる機会を得ました。

・『基本方針』で「早期」に関わる点を拾ってみると…

  1.早期発見・早期療育の重要性とその理由
  2.生後1ヶ月以内に新スク-3ヶ月以内に検査・診断-6ヶ月以内に補聴・療育の開始を推奨する、いわゆる【1-3-6ルール】
  3.新スク(新生児聴覚スクリーニング)の100%実現及び効果的な実施方法に踏み込んだ資料作成の必要性
が明記されています。

特に1. の理由として
「難聴は、早期に発見され適切な支援が行われた場合には、音声言語発達等への影響を軽減することや、手話等の言語・コミュニケーション手段の獲得を円滑にし…」と書かれた部分(「(2) 難聴児支援の基本的な考え方 <早期発見の重要性>)
と書かれていることを評価したいと思いますが、さらに踏み込んで言えば、

「難聴は、早期に発見され適切な支援が行われた場合には、音声言語発達等への影響を軽減することや、音声言語・手話言語等の言語・コミュニケーション手段の獲得を円滑にし…」
としてほしいと思い、パブコメに上げたいと考えています。

・次に「療育」の部分を見てみましょう…難聴児支援においては、本人とその家族等を中心とした早期支援が、言語・コミュニケーション手段の獲得や家族等の不安軽減等につながる。最終的な意思決定権は本人にあるが、本人が乳児である場合はその家族等が意思決定を行うことを認識し、難聴に関する知識をもたない状態から、難聴児本人の多面的な発達等の評価等の情報を正しく理解し、意思決定できるようになるまで、関係者で本人及び家族等に寄り添った支援を行うことが重要である。」((2) 難聴児支援の基本的な考え方 <本人及び家族等を中心とした支援> )

とあり、「家族等を中心とした」と明記されたことは大きな意義があると思います。

2つの文章から成るうち2番目の文章の後半の中、「難聴に関する知識をもたない状態…//…意思決定できるようになるまで」は主語が「家族等」です。これはどういうことでしょうか難聴児ファミリーは我が子のための意思決定について「選択の自由」と「責任」をもち、その自由と責任を遂行するための支援を受けることができる「べき」である、ということなのです。施設や病院に丸投げではなく、自覚をもって療育に関わっていく。まさに親の役割をズバリ言い当てていると思います。

難聴児を授かって右も左もわからずショックから思考停止に陥ることもある私たち親にとって、【1-3-6ルール】は非情に感じられるかもしれません。急きたてられるように下した決断が我が子の母語を決定し、生きていく世界を決定してしまう…。でも、【1-3-6ルール】をクリアした子供たちとそうできなかった子供たちの言語力の伸びに有意な差が出ることが研究によって確かめられていることも事実なのです。求められるのは広いビジョンと経験・知識を持った助言者、いえ、伴走者です。

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